呪いの螺旋階段 第二章

ホラー

呪いの螺旋階段 第二章
エマの意識は途絶えた。しかし、彼女の魂はまだ洋館の中に囚われていた。
エマは自分が人形の姿になっていることに気づいた。それは、あの顔のない男が作った人形の一つだった。
人形の体は冷たく、そして硬かった。エマは自分の体なのに、全く動かすことができなかった。
「私が…人形に…?」
エマは信じられなかった。まさか自分が、あんなに恐れていた人形になってしまうなんて。
エマは絶望した。もう二度と、人間の体に戻ることはないのだろうか。
その時、エマは他の人形たちが、皆一様に苦悶の表情を浮かべていることに気づいた。
「みんな…苦しんでいる…?」
エマは他の人形たちに話しかけようとした。しかし、人形の体では、声を発することもできなかった。
エマはもどかしさを感じた。どうして、こんなことになってしまったのだろう。
エマは過去の出来事を思い出していた。
幼い頃、祖父からこの洋館にまつわる恐ろしい話を聞かされたこと。
「この洋館には、呪われた螺旋階段がある。決して、その階段を上ってはならない」
祖父の言葉は、エマの心に深く刻み込まれていた。
それなのに、なぜエマは螺旋階段を上ってしまったのだろうか。
エマは後悔した。祖父の言葉を守っていれば、こんなことにはならなかったのに。
しかし、今更後悔しても遅かった。エマはもう、人形になってしまったのだ。
エマは他の人形たちを見つめた。彼らは皆、過去にエマと同じように、この洋館で命を落とした人々だった。
エマは彼らと同じように、人形として永遠にこの洋館に閉じ込められてしまうのだろうか。
その時、エマは一つのことに気づいた。
人形たちの表情は、ただ苦しんでいるだけではない。どこか悲しげにも見えた。
「もしかして…みんな…悲しんでいる…?」
エマは思った。
彼らは、自分たちと同じように、この洋館で命を落とした人々のことを悲しんでいるのではないか。
そして、自分たちが人形にされてしまったことを悲しんでいるのではないか。
エマは彼らの気持ちが痛いほどわかった。
エマもまた、自分の運命を悲しんでいた。
しかし、エマはただ悲しんでいるだけではなかった。
彼女は、この状況をどうにかして変えたいと思っていた。
エマは他の人形たちに語りかけた。
「みんな…一緒にここから抜け出そう!」
もちろん、人形たちは答えることはなかった。
しかし、エマは諦めなかった。
彼女は毎日、人形たちに語りかけた。
「きっと、ここから抜け出す方法があるはずだ」
「みんなで力を合わせれば、きっとできる」
エマの言葉は、人形たちの心に少しずつ響いていった。
そして、ある日、人形たちに変化が現れた。
彼らの表情が、少しだけ明るくなったのだ。
エマは嬉しかった。
「みんな…わかってくれた…!」
エマは確信した。
みんなで力を合わせれば、きっとこの呪われた洋館から抜け出すことができる。
第二章 完

呪いの螺旋階段 第三章

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