悪夢の遊園地 第六章
それからさらに数年が経ち、アリスはカウンセリングルームの院長になっていた。かつては小さなカウンセリングルームだった場所も、今では地域でも評判の大きな施設になっていた。
「先生、ありがとうございます。おかげで、娘も少しずつ元気を取り戻してきました」
患者の母親が、アリスに深々と頭を下げた。アリスは笑顔で答える。
「それは良かったです。〇〇さんのペースで、ゆっくりと心の傷を癒していきましょう」
アリスは、患者とその家族に寄り添い、共に悩み、共に喜び、そして共に成長してきた。遊園地での経験を通して、人の心の脆さ、そして強さを知った。だからこそ、彼女は人の心に寄り添うことの重要性を誰よりも理解していた。
カウンセリングルームには、様々な悩みを抱えた人々が訪れる。子供、若者、大人、そして老人。年齢も性別も、抱える悩みもそれぞれ違う。しかし、アリスはどんな人に対しても、分け隔てなく、優しく、そして丁寧に接した。
「先生は、私たちの話をちゃんと聞いてくれるから、安心できるんです」
患者たちは、口々にそう言った。アリスは、患者たちの言葉が何よりも嬉しかった。
ある日、アリスはカウンセリングルームに、一人の少女が訪ねてきたことに気がついた。どこか見覚えのある顔立ちだと感じながらも、アリスは優しく声をかけた。
「こんにちは。何か困っていることはありますか?」
少女は少し緊張した様子で話し始めた。
「実は、昔、この街の遊園地で怖い体験をしたんです。その時のことが、今でも忘れられなくて…」
少女の言葉に、アリスはドキリとした。もしかして、あの時の子供たちの一人だろうか?
「その遊園地で、何かあったんですか?」
アリスは優しく尋ねた。少女は、遊園地で体験した恐ろしい出来事を話し始めた。
アリスは、少女の話を静かに聞いていた。そして、少女が話し終わると、優しく語りかけた。
「辛かったですね。でも、あなたは、その怖い体験を乗り越えて、ここまで来たんですね。あなたは強い人です」
少女は、アリスの言葉に涙を流した。
「ありがとうございます…」
少女は震える声で言った。
「あなたは一人じゃない。私も、あなたと一緒に、その辛い記憶と向き合っていきます」
アリスは、少女の手を優しく握った。
その日から、アリスと少女は、一緒に過去の記憶と向き合っていくことになった。アリスは、少女の心の傷を癒すために、様々な方法を試した。
そして、数年後、少女はすっかり元気になり、アリスに感謝の言葉を伝えた。
「先生、本当にありがとうございました。先生がいなかったら、私はどうなっていただろうか…」
少女の言葉に、アリスは涙を流した。
「私も、あなたに出会えて、本当に良かった。あなたは、私にとって、特別な存在です」
アリスは、少女を優しく抱きしめた。
少女は、アリスの腕の中で、幸せそうに微笑んだ。
それから数年後、アリスは、この街の人々にとって、かけがえのない存在になっていた。彼女は、多くの人々の心を救い、そして、多くの人々から愛された。
そして、アリスは、いつまでもこの街で、人々のために生き続けるだろう。
第六章 完
これにて「悪夢の遊園地」はグランドフィナーレとなります。
この物語を通して、読者の皆様に、人が過去の経験や恐怖を乗り越え、他人を思いやり、支え合うことの素晴らしさを感じていただけたら幸いです。
そして、アリスという一人の女性の成長を通して、人がどのようにして強さや優しさを獲得していくのか、その過程を温かく見守っていただけたらと思います。
この物語を読んでくださり、本当にありがとうございました。
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