憑依旅館 第七章

ホラー





憑依旅館 第七章


憑依旅館 第七章

あかりは、部屋の中に広がった光景に、息を呑んだ。

そこには、黒い影の姿はなかった。

代わりに、祭壇の上に置かれた人形が、光を放っていた。

人形は、あかりが以前、旅館で見つけたものと同じものだった。

あかりは、人形が光を放っている理由が分からなかった。

ただ、人形から、温かい光が溢れ出ているのを感じた。

その時、老婆が、あかりに話しかけた。

あかりさん、儀式は成功しました」

「これで、この旅館から、悪霊は消え去りました」

老婆は、そう言った。

あかりは、老婆の言葉に、安堵した。

(本当に、悪霊を退治できたんだ…)

あかりは、そう思った。

そして、人形に近づき、そっと触れてみた。

すると、人形から、さらに強い光が放たれた。

光は、あかりの体を包み込んだ。

あかりは、目を閉じた。

そして、再び目を開けた時、あかりは、自分がどこにいるのか分からなくなった。

あかりは、周りを見渡した。

そこは、真っ白な空間だった。

何も見えない、真っ白な空間。

あかりは、不安になった。

(ここは、一体どこなんだろう…)

あかりは、そう思った。

その時、あかりの耳に、優しい声が聞こえた。

あかりさん…」

声のする方へ、あかりは歩いて行った。

そして、ある人物を見つけた。

それは、亡き父だった。

「お父さん…!」

あかりは、駆け寄り、父に抱き着いた。

あかり、よく頑張ったな」

父は、あかりの頭を撫でながら、言った。

「ありがとう、お父さん…」

あかりは、涙を流した。

あかり、もう大丈夫だ」

「これからは、自由に生きなさい」

父は、そう言った。

「お父さん…」

あかりは、父の言葉に、再び涙を流した。

そして、父は、あかりに微笑みかけた。

あかり、さようなら」

父は、そう言って、光の中に消えていった。

「お父さん…!」

あかりは、父の名前を呼んだ。

しかし、父は、もういなかった。

あかりは、一人、真っ白な空間に取り残された。

そして、あかりは、ゆっくりと目を開けた。

そこは、旅館の部屋だった。

あかりは、ベッドの上に寝ていた。

(夢…?)

あかりは、そう思った。

しかし、夢にしては、あまりにもリアルだった。

あかりは、体を起こした。

そして、部屋を見渡した。

部屋の中は、何も変わっていなかった。

ただ、祭壇の上に置かれた人形が、以前よりも、少しだけ綺麗になっているように見えた。

あかりは、人形に近づき、そっと触れてみた。

すると、人形から、温かい光が放たれた。

光は、あかりの体を包み込んだ。

あかりは、再び目を閉じた。

そして、目を開けた時、あかりは、自分が変わったことに気が付いた。

それは、心のあり方だった。

あかりは、以前よりも、強く、優しくなっていた。

そして、あかりは、これからのことを考えた。

(私は、この旅館を、お客様にとって、本当に癒される場所にしたい)

あかりは、そう思った。

そして、そのために、自分にできることを、一つずつやっていこうと決意した。

第七章 完


憑依旅館 第八章

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