憑依旅館 第六章
あかりは、霊媒師の家で、悪霊退治の儀式について詳しく教えてもらった。
儀式には、特別な道具や場所が必要だと聞いたが、霊媒師がすべて用意してくれるという。
あかりは、霊媒師の言葉に、希望を見出した。
(もしかしたら、本当に悪霊を退治できるかもしれない…)
あかりは、そう思った。
そして、霊媒師に、儀式の日程を尋ねた。
霊媒師は、少し考えた後、言った。
「では、明日の夜にしましょう」
「準備がありますので、夕方頃にいらしてください」
あかりは、霊媒師の言葉に頷いた。
そして、霊媒師に礼を言い、家を後にした。
旅館に戻ったあかりは、儀式の準備を始めた。
まずは、旅館の各部屋を掃除した。
そして、悪霊が嫌がるという、お札やお守りを、各部屋に飾った。
夕方になり、あかりは、再び霊媒師の家へと向かった。
霊媒師の家に着くと、老婆が出迎えてくれた。
「さあ、中へお入りください」
老婆は、あかりを家の中へと招き入れた。
家の中は、昼間とは雰囲気が違っていた。
薄暗く、静かで、どこか神秘的な感じがした。
あかりは、老婆に案内され、奥の部屋へと入った。
部屋の中には、祭壇が設けられていた。
祭壇の上には、様々な道具が並べられていた。
「準備ができました。始めましょう」
老婆は、あかりに言った。
あかりは、緊張しながら、頷いた。
老婆は、祭壇の前に座り、目を閉じた。
そして、何かを唱え始めた。
あかりには、何を言っているのか、全く分からなかった。
しかし、老婆の声は、次第に大きくなり、部屋中に響き渡った。
すると、部屋の空気が、急に重くなった。
あかりは、息苦しさを感じた。
そして、部屋の中に、黒い影が現れた。
影は、ゆらゆらと揺れ動きながら、あかりに近づいてきた。
あかりは、恐怖を感じた。
(これが、悪霊…?)
あかりは、震えながら、影を見つめた。
その時、老婆の声が、あかりの耳に届いた。
「あかりさん、目を閉じてください!」
あかりは、言われた通り、目を閉じた。
すると、激しい音が聞こえた。
何かがぶつかり合うような、激しい音だった。
あかりは、恐怖で体が震えた。
どれくらいの時間が経ったのか、分からなかった。
しかし、やがて、音が止んだ。
あかりは、ゆっくりと目を開けた。
そして、目の前に広がった光景に、息を呑んだ。
第六章 完
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