魂の叫び 第二章
コウは、女の「声」に、戸惑いを隠せない。
「私は、ここで殺された…」
それは、悲痛な叫びだった。
コウは、女の言葉の意味を理解しようとした。
(この家で、過去に悲しい出来事があったというのは、本当だったんだ…)
コウは、近所の人たちの噂を思い出した。
「この家には、過去に悲しい出来事があった。住む者は不幸になる」
(もしかしたら、この女の霊が、私を不幸にしようとしているのかもしれない…)
コウは、恐怖に駆られた。
しかし、女の表情は、コウが想像していたものとは違っていた。
女は、悲しげな表情で、コウを見つめていた。
(この女は、私を怖がらせようとしているのではない…)
コウは、女の表情から、何かを感じた。
そして、女の「声」を、もう一度聞いた。
「私は、ここで殺された…」
それは、やはり悲痛な叫びだった。
しかし、今度は、コウには、その叫びに、別の感情が混ざっているように感じた。
それは、助けを求める叫びだった。
コウは、女の叫びの意味を、ようやく理解した。
女は、コウに、自分の無念を伝えようとしているのではない。
女は、コウに、自分の無念を晴らしてほしいと、助けを求めているのだ。
コウは、女の気持ちを理解した。
そして、女の無念を晴らすことを決意した。
「わかった。私が、あなたの無念を晴らしてみせる」
コウは、女に言った。
女は、コウの言葉に、少し驚いたようだった。
しかし、すぐに、安心したような表情に変わった。
そして、コウに、深々と頭を下げた。
「ありがとう…」
女は、小さな声で言った。
そして、コウの体から、光が溢れ出した。
光は、女を包み込み、そして消えた。
女の姿は、そこにはなかった。
しかし、コウは、女の「声」を聞いた。
「ありがとう…」
それは、感謝の言葉だった。
コウは、女の霊が、成仏したのだと感じた。
(これで、この家も、静かになるだろう…)
コウは、そう思った。
しかし、コウは、すぐに考えを改めた。
(いや、まだ、やるべきことがある)
コウは、女の無念を晴らすことを、改めて決意した。
そのためには、まず、この家で、過去に何があったのかを調べなければならない。
コウは、調査を開始した。
第二章 完
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